めん作りに没頭していた頃の安藤
安藤には、消費者に調理の手間を取らせたくないという強い想いがありました。そこで、あらかじめスープの味を染み込ませた「着味めん」を、そうめんのように乾燥させて長期保存を可能にし、さらにお湯を注いですぐに食べられるようにしたいと考えていたのです。
しかし、このアイデアを実現するには、「『保存性』と『簡便性』の2つを同時に成り立たせる」という難題を解決しなければなりませんでした。

瞬間油熱乾燥法

研究で使用された道具の一部 (再現)
ヒントは、思いがけないところにありました。
ある時、台所で妻が夕食の天ぷらを揚げているのを見て、めんの乾燥にも応用できるのではないかとひらめいたのです。安藤は早速、めんを天ぷら同様に油で揚げてみました、すると、めんの水分が高温の油ではじき出され、ほぼ完全に乾燥した状態となりました。半年間置いても変質したり、腐敗したりしない「保存性」が獲得できたのです。加えて「簡便性」についての問題も、この製法で解決することがわかりました。注いだお湯が水分の抜けた穴から吸収され、めん全体にゆきわたり、スープが溶け出したのです。同時にめんも元のやわらかい状態に戻りました。
「保存性」と「簡便性」という2つの技術課題を同時に解決することができた瞬間でした。
さらにもう一つ、めんを一定の形のかたまりに揚げるという課題が残されていました。これについても、試行錯誤の結果、手製の型枠を使い、ほぐしためんを同じ厚みに整えて油に入れることで、ようやく解決することができました。
この一連の製法は、瞬間油熱乾燥法と名づけられ、特許登録されました。瞬間油熱乾燥法は、油で揚げるインスタントラーメンを作るうえでの基本的な製法技術として、現在も活用されています。












